まつ毛を抜くことをやめられない―――。
これは何かの病気なのでしょうか。
考え事をしている時、何となく手持ちぶさたの時、まつ毛や髪をついつい触ってしまう&抜いてしまう人は意外に多いもの。
ですがその癖があまりに顕著な人は病気の可能性も。
今回はまつ毛を抜き続けてしまう『抜毛症』について徹底解説。
カンタンに自己診断できるチェックリストもご用意しました。
*この記事はこんなお悩みの方におすすめ*
- まつげを抜く重度の癖がある
- まつげを抜きすぎて無くなってきた😢
- 気づいたら我が子のまつげが無い!
- これはもう受診した方がいいの?
抜毛症は小学生くらいの子どもから発症することが多いため、子どもから大人まで幅広い年齢層に向けて解説していきます。
では早速まいりましょう!
まつ毛を抜く癖は病気?
最初にお伝えしたいのが、まつ毛を抜く癖があるからといって、それら全てが病気というわけでは決してありません。
冒頭でもお伝えしたように、ふとした時に何気なくまつ毛や髪を触ってしまう&抜いてしまう人は沢山います。
筆者もかゆい時にこすったり、強く引っ張って抜いてみたりすることもしばしば。
じゃあどんな場合が病気なの?
まつ毛を抜き続けてしまう『抜毛症』という慢性疾患があります。
『トリコチロマニア』『抜毛癖(ばつもうへき)』とも呼ばれています。
どんな場合が抜毛症に当てはまるのかというと、それはずばり、
脱毛状態となっているにもかかわらず、やめられない場合。
これが一つの大きな指標となります。
抜毛症とは、繰り返し自身の毛髪を抜き、さまざまな程度の脱毛状態に至る慢性疾患です。衝動や思考を制御するために意図的に行う自覚型と、何かをしているときについ行ってしまう無意識型、二つの型があります。
(朝日新聞EduA)
例えば小学生の子どもで無意識に抜いてしまう癖があったとしても、それが一時的なものであれば心配いりません。
ですが意識してもやめられない、あまりに抜きすぎてはげているのにやめられない、といった場合は要注意、ということです。
『抜毛症』かどうか分かる!チェックリスト
自分で抜毛症かどうか分かるチェックリストをご用意しました。
病院を受診する前にまずはセルフチェックしてみましょう。
*もしかして抜毛症?チェックリスト*
- 無意識にまつ毛(あるいは他の毛)を大量に抜いていた
- いけないと分かっているのに、抜いてしまう
- 抜くと緊張や不安が和らぐ
- 抜いた後にはいつも後悔する
- 毛が部分的に薄い、あるいは無くなっている
- 強いストレスを感じると抜いてしまう(テスト前・人間関係など)
これらに1つでも当てはまる場合は抜毛症を疑った方がいいでしょう。
『抜毛症』の症状や特徴とは
次に、抜毛症の症状や特徴について、詳しくご紹介します。
部分的に毛が無くなっている
抜毛症の症状については実際に写真でご覧いただくのが早いでしょう。
ここでは様子が分かりやすい髪の毛の写真をご紹介します。
まつ毛に関しても同様で、まつ毛や眉毛がなくなることも。
完全になくなるまではいかず、薄毛状態の人もいます。
また、これらの部位はだんだんと移り変わっていくこともあります。
眉毛→まつ毛→頭髪、といった具合ですね。
抜毛症は子どもにも多い
抜毛症で悩む年齢層は、子どもから60代のシニア世代までさまざま。
ですが特に発症しやすい年齢としては、小学校中学年ごろが非常に多いです。
この時期の子どもは、個性やものの考え方といった自我ができ上がってきます。
すると自分を取り巻く環境に対して、反発心を自覚するようになります。
加えて勉強も難しくなってきますし、中学受験がプレッシャーとなることも。
それより小さい子どもにも脱毛症状が現れることがありますが、まだ時期的に自我が形成されていないため、単なる癖で済むケースが多いようです。
もちろん大人にも抜毛症に悩む方は沢山います。
これは大人になって発症することもあるのですが、むしろ子どもの頃に発症し、落ち着いたり再発したりしながら長い年月を過ごして来たケースが多いです。
性別では女性に多い
抜毛症を性別でみると、女性が多いと言われています。
その比率は男性1に対して女性9。
こうしてみると女性が圧倒的ですね。
ですが実は女性の方がもともと髪が長かったり、まつ毛をケアしたりすることが多いため、女性の方が「気にして受診する率」が高いという説も。
男性は髪を短髪にして隠すなど、隠れ抜毛症がもう少しいるかもしれませんね。
ちなみに子どもの抜毛症は男女差があまりありません。
長期化&再発するケースも
抜毛症の難しさは、長期化&再発するケースもあること。
適切な治療に取り組むことで数ヶ月で良くなることもありますが、一方で何十年も抜毛症と付き合っている人もいます。
1年またはそれ以下の期間にわたり治療を受けた患者さんの約3分の1が軽快しますが、20年以上も続く場合もあります。13歳以降の発病は慢性的になりやすいと考えられています。未治療の場合には、寛解と憎悪を繰り返す場合があります。
(ハートクリニック「こころのはなし」)
13歳以降、つまり中学生以降の発症は、慢性的になりやすいとのこと。
大きくなればなるほど問題は根深くなってくるということでしょう。
抜毛症の発症率は?
抜毛症の発症率ですが、医療専門サイト「MSDマニュアル家庭版」によれば、
人口の約1~2%にみられる、とされています。
ところが日本抜毛症改善協会によると、抜毛症人口は増加している傾向。
頭髪だけでなくまつ毛・眉毛の抜毛症や、隠れ抜毛症の人を含めると、2〜3%くらいまで増えているかもしれません。
まつ毛を抜くようになる原因
そもそもどうして無くなるほど抜いてしまうの?
ここからは、抜毛症でまつ毛を抜くようになる原因について解説します。
不安や緊張などの精神的ストレス
抜毛症は美容目的で抜くのとは全く異なり、心因性のものです。
強迫症の一種とされています。
*強迫症とは*
- 不安にかられてどうしようもない!
- パニックに近いような状態になる
- この不安や緊張をどうにかしなければ!
- 何らかの特定の行為に及ぶ(この場合、毛を抜く)
- 毛を抜くことで、ストレスが和らぐ
毛を抜くことで最終的に自分が抱えていた緊張や不安が和らぐため、儀式のようにその行為がやめられなくなってしまうのです。
幼少期からの親との関係性
とはいえ精神的なストレスというのは多かれ少なかれ誰にもあるもの。
上手に発散できていれば大きな問題とはなりませんよね。
しかし抜毛症に至ってしまう人はストレスの蓄積が大きく、その背景として幼少期からの親との関係性が大きく影響すると言われています。
もちろん原因はこればかりではありませんが、一例としてご紹介しておきます。
*抜毛症になりやすい親子関係*
- 親がプレッシャーをかけすぎる
- 親が完璧を求めてくる
- 一人っ子あるいは第一子で期待が大きくなりがち
- 子どもが思っていることを言えない性格または環境にある
先ほど「発症時期は小学校中学年ごろが多い」とお伝えしました。
ですが、その背景にあるのは『幼少期から』どんな環境で育ったのか、親子関係はどうだったのか、ということ。
例えば小3になって発症したとします。
それは小3時期だけの問題ではなく、それまで置かれていた環境による影響がここに来て表面化した、と考えられるのです!
まつ毛を抜くのをやめたい!治療法は?
何とかして抜毛症を克服したい!
ここからは、抜毛症の治療法についてご紹介します。
医療機関を受診する
最初は抜毛症かどうかの確証がないため、皮膚科を受診される方が多いです。
特にお子さんの場合は判断が難しいですから、一旦皮膚科にいかれるのも一つの考え方でしょう。
もっと大きくなれば、自分で自分のことは分かってきます。
「皮膚が問題なのではなく、自分が抜きすぎるからだ」と分かっている場合は皮膚科ではなく精神科・精神神経科・心療内科などがベター。
ちなみに子どもの場合は通常の精神科より小児精神科がおすすめです。
児童・思春期外来(精神科)などもありますので、お住まいの地域の病院を調べてみると良いでしょう。
医療機関ではカウンセリング系の治療と、お薬での治療が行われています。
お薬とは一般的に抗うつ薬や抗不安薬が処方されるようです。
ですがこれらのお薬はあくまでも症状をコントロールするためのもの。
症状を抑えている間に、環境改善や心のケアについても同時に考えていくことが大切と言えるでしょう。
医療機関での治療方法についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
宜しければあわせてご覧になってみて下さい。
(リンク)
「抜毛症でまつげを抜いても生えてくる?生えるまでの期間は?」
「日本抜毛症改善協会」のサポートを受ける
実は、日本には抜毛症を専門に扱い、その改善に取り組む民間団体があります。
それが「一般社団法人 日本抜毛症改善協会」です。
協会では、抜毛症の正しい知識や改善事例を紹介するほか、過去3,000名にものぼる抜毛症の症例データに基づく独自の改善メソッドを提案。
そして「抜毛症改善カウンセラー」という民間資格を設け、髪を扱う理美容院を中心とした普及に努めています。
つまりお近くの美容院などに「抜毛症改善カウンセラー」が在籍していれば、そこで抜毛症を相談することができるというわけです!
単なる1サンプルではなく、膨大なデータから導き出している改善方法なので、信頼度は高いのではないでしょうか。
抜毛症を改善した!事例紹介
先にご紹介した「一般社団法人 日本抜毛症改善協会」の公式ホームページから、まつ毛→眉毛→頭髪へと部位が移行していった少女の改善事例をご紹介します。
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=ZsXDUOR3pUs]
この女の子は、中学受験で志望校に受かりたい!と自分を追い込んでしまっていたそう。
頭髪に関してはウィッグをつけることで抜きづらくなりますし、見た目が可愛くなることで心を落ち着けることができました。
まつ毛で考えるなら、やはりつけまつ毛でしょうか。
そして女の子が気持ちを切り替えて目標意識を持つことで、抜きたい衝動に耐えることに成功。
お受験の方も上手くいったようで良かったですね!
またこのケースでは両親も一緒にカウンセリングを受けていたのだとか。
やはり家庭全体で足並みを揃える、そして見守るといった協力体制も非常に大切になってくるのですね。
さらに今後注意したいのが、再発です。
再発防止のためには、一度改善してからの約6ヶ月間が命。
この期間をクリアすると、再発の可能性が激減するのだとか。
抜毛症の改善に取り組んでいる方は、この「6ヶ月間」という重点期間を覚えておくと良いかもしれませんね。
まつ毛抜毛症の体験談については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
宜しければあわせてご覧になってみて下さい。
(リンク)
「抜毛症でまつげを抜いても生えてくる?生えるまでの期間は?」
まとめ
今回は、まつ毛を抜く癖が気になる方へ、「抜毛症」という心因性の慢性疾患について詳しく解説してきました。
改めて抜毛症の特徴などをまとめておきます。
- 抜毛症は「脱毛状態になるまで」毛を抜いて「やめられない」のが特徴
- 小学3,4年生頃からの発症が目立つ
- 子どもは男女差があまり無いが、全体としては女性に多い
- 長期化&再発するケースも多い
- 何かしらの精神的ストレスが原因となり、抜くと心が楽になる
- 精神科・精神神経科・心療内科などで相談できる
- 抜毛症を専門に扱う協会にも相談できる
本文中でお伝えしましたが、13歳以降の発病は慢性的になりやすいと言われます。
まつ毛を抜いてしまう癖に気づいたら、なるべく早く行動しましょう。
早めに周囲の力を借りることこそが、克服への近道です。
一人で悩まないで、相談して下さいね。
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